現役公務員の氷犬です。
僕は5年ほど税務署で公務員として働いてきましたが、先輩の中には「社会人を経験した上で公務員に転職した人」が結構いました。
「今の時代に公務員に転職するのって何かメリットあるかな?」と考えたところ、「メリットはない」という結論に至りました。
この記事では「公務員に転職することはリスクがある」ということについてお話しします(-_-)
- 20代・30代で公務員に転職しようと考えている人
- 働いてる時間は長いのに給料が低い人
- 「公務員は安定している」と考えている人
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公務員転職の入り口は2つ
公務員に転職するには、大きく分けて2つの入り口があります。
ここでは国税庁の採用試験を例にして説明します。
一般採用試験
こちらは大学の新卒~30歳程度の方が受けられる試験となっています。
特に前職の有無は関係ないので、年齢さえ採用範囲からズレていなければ受けることが可能です。
[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/about/recruitment/kokusen/shiken/test_02.htm”]新卒のような扱いで採用されるため、前職の経験やスキルはほとんど考慮されることはないと言っていいでしょう。
社会人経験者採用試験
こちらは「社会人経験がある人」を対象としている試験です。
大学か大学院を卒業して8年を経過した年以降に受けることができるので、対象年齢としては32歳以上になります。
[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/about/recruitment/keikensha/shiken/index.htm”]
民間企業で働いていた人が対象となるので、前職で得た経験やスキルを公務員の仕事に活用できることが条件となっています。
※正直な話
国税組織に限っていえば、「民間で経験したことが役立つ仕事はほとんどない」と思います。
なぜなら、IT化がほとんど進んでおらず、特殊なスキルを役立てる土壌が組織内にないからです。
組織の体質はだいぶ古いと言っていいでしょう。
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民間から公務員に転職しようとするワケ

民間企業から公務員に転職しようと考えている人は、おそらくこんな状況の人ではないでしょうか。
- 労働時間が長い(残業がある)
- 給料が低い
- ボーナスがない
- 仕事にやりがいがない
- パワハラ・セクハラがある
- 職場の人間関係が合わない
どれもよく言われていることですね。
一方、公務員に当てはまるものはないのでしょうか?
ひとつひとつ丁寧に考えてみました。
①労働時間
公務員は9時ー5時で帰れる仕事とはよく言われますね。
しかし、実際にはそんなことはありません。
僕の場合だと、8時半から17時までが勤務時間で休憩時間が45分なので、労働時間としては7時間45分+αくらいでしょうか。
ただ、僕は税務署の中でたまたま楽な部署にいるだけで、都市部の税務署で調査や総務の仕事をすると労働時間が長くなる傾向にあります。
市役所なども生活保護や建設関係の仕事をしていると「辛いし残業もある」といいますよね。
②給料面
20代前半の僕の年収は350万円でした。
20代の平均年収よりは上なので、給与の面は比較的良いと言ってもいいかもしれませんね。
また、家賃も公務員宿舎なので1万円ほどと非常に安く、実質的な手取りは多いです。
しかし、完全年功序列で給料が上がっていくため、仕事を頑張っても頑張らなくても大して給料が変わりません。
つまり、給料はそこまでスケールしないので、「平均的なサラリーマン」程度の収入しかもらえないでしょう。
こちらの記事にも公務員の給与の話を書いていますので参考にしてみてください。
③ボーナス
公務員は6月と12月の年2回ボーナスが支給されます。
ボーナスの額は「基本給×3.98」なので、基本給の約4か月分がボーナスの総額です。
基本給が20万円であれば、ボーナスの額は年間80万円となります。
ボーナスが支給されない民間企業があることを考えると、ボーナスがあるというのは公務員の魅力のひとつと言えるかもしれません。
④仕事のやりがい
公務員の仕事は利益を出すためのものではないので、「社会貢献」や「地域貢献」を目的として働くことになります。
しかし、実際は書類と向き合っている時間が長く、その事務作業にやりがいを感じられるか、と考えると疑問です。
行政サービスは無償で受けられることもあり、暇な年配の人がケチをつけにくるなど、余計なストレスがあります。
税務署では「税務調査で不正を暴くこと」が一番大きなやりがいになる人が多いですが、「人の役に立つ商品・サービスを提供する」方がよっぽどやりがいを感じるかと思います。
どうせ仕事をするなら直接人に喜ばれる仕事がしたいとは思いませんか?
公務員に仕事のやりがいを期待するのはイマイチおすすめできません。
⑤ハラスメント
パワハラとセクハラは大きな社会問題です。
公務員も「職員のメンタルケア」についてはすごく気を使っていて、定期的に研修が行われます。
だいぶパワハラやセクハラはなくなったものの、それでも立場が上であることを使ってハラスメントをしてくる人はいます。
ハラスメントの問題は組織がどうこうというよりは「人による」としか言えないのですが、公務員は良くも悪くも閉鎖的なので、どうしてもハラスメントが起きてしまいます。
近年、若手職員が休職してしまうケースが多く、組織全体で解決法を考えているようです。
かくいう僕の動機も2年目で休職してしまい、それ以降戻っていません。
⑥職場の人間関係
公務員の組織はすごく閉鎖的です。
組織が狭い分、人間関係が濃くなり、仕事のしやすさにも影響してくるケースが多いです。
特に40代~60代の年配職員が多いこともあって、20代・30代の若手職員は肩身の狭い思いをすることになります。
自分の言いたいことをはっきり言える性格の人であれば問題ありませんが、「自分は少し気が弱い」と感じている人はかなりやりにくいと思います。
公務員は「自分勝手に振る舞う人」が強い組織なので、そういうワガママな人が苦手な人は公務員は絶対にやめた方がいいです。
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公務員転職に潜む最大のリスク
公務員の給与や福利厚生面については大きな問題がないのですが、実はひとつだけ圧倒的なデメリットがあります。
それは「まったくスキルが身につかないこと」です。
公務員はクビにならないため、利益をあげることを考える必要がなく、仕事を頑張る理由がやりがい以外にありません。
やりがい労働ではモチベーションが続くわけもなく、必然的に自分のスキルを磨かなくなります。
結果的に「潰しが利かない人材」となってしまうため、公務員を辞めたくても辞められなくなってしまいます。
事実、転職市場では公務員だったという経験はまったく価値を持ちません。
「自分は一生公務員だ!」という人であれば問題はありませんが、一生退屈な仕事をやり続けるのは辛いものがあります。
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副業解禁時代に公務員に転職する理由はない

2018年、大手の企業が副業を解禁し始めたのは記憶に新しいでしょう。
これはつまり、「会社で面倒見切れないから自分で頑張ってね」というメッセージです。
もしかすると、公務員の身分保障も今ほど強固なものではなくなるかもしれません。
具体的には給料の減額や、福利厚生の悪化など。
また、公務員は法律で副業を禁止されているので、給料以外にお金を得る術がありません。
副業解禁時代にあえて公務員に転職する理由があるとは思えません。
短期的には「安定している」と感じるかもしれませんが、長期的に見て豊かになることはできないでしょう。
どうせ転職に労力を使うのであれば、自分なりのスキルを身に着けて「換えの利かない人材」になりませんか?
たとえば、プログラミング・Webマーケティング・ライティングなど。
特にAI時代に突入することがわかっている今では、プログラミングのスキルがないと不利な立場に立たされる可能性があります。
AIを活用できるようになるか、AIに奪われるような仕事をするか。
会社に頼るのではなく、自分自身を頼れるようにスキルを身につけましょう。今からでも遅くはありません。
【未経験から】プログラミングの独学方法の手順まとめ【実践済み】
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「公務員に転職するリスク」まとめ
- 公務員は理想の職場ではない
- 公務員の安定とは「豊かになれる」という意味ではない
- スキルを身に着けて「換えの利かない人材」になろう
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