元税務職員の氷犬です。

こんな疑問に答えます。
僕は高卒で税務署に入り、18歳から23歳までの5年間税務署で働いていました。
税務署に入ってから、「入る前に意識しておきたかったな」ということがいくつかあるので、まとめてみたいと思います。
これから採用試験を受ける・受けたい人の参考になるはずですm(_ _)m
- 税務職員になりたい人がチェックしておきたいこと【6項目】
- 税務職員になりたい理由はなんですか?
- 税務職員になりたいと思う人が読んでおくべき本
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税務職員になりたい人がチェックしておきたいこと【6項目】

税務職員になる前に、最低限知りたかったことを6つまとめてみました。
ひとつひとつ詳しく書いていくので、めんどうだなぁと思うかもしれませんが、自分の気持ちと照らし合わせながら見てみてください。
- 税務署で一生働く気があるか
- 転勤生活を受け入れることはできるか
- 収入源が給料だけでも耐えられるか
- 効率の悪い働き方を受け入れられるか
- やりたい仕事ができなくても大丈夫か
- 年上の人の意見を受け止められるか
デメリットばかりに見えますが、面接で聞かれることでもあるので、しっかり見ていきましょう。
①税務署で一生働く気があるか
税務職員は公務員なので、クビになることがありません。終身雇用の職場です。
ただ、公務員は職歴としては不利な部類で、特にスキルが身に着くわけではありません。
一応、簿記会計のスキルは身に尽きますが、事務職以外には活かしづらいですね。
別に一生働く必要はないのですが、勤め続けることに向いている職場なので、正直辞めにくいかなと感じます。
もし、「なんとなく」で税務職員になろうとしているのであれば、別の職場の方がスキルが身に着く可能性が高いのでおすすめです。
転職する可能性があるのなら、最初のキャリアとして選ぶのは微妙かなというイメージですね。
一応、40代になると税理士資格がもらえるので、税理士としての独立や会計事務所に勤めること考えているなら、選択肢としてはアリです。
②転勤生活を受け入れることはできるか
税務職員は国家公務員なので、転勤が多いです。
東京エリアなら引越しする必要はあまりないですが、東京以外の地域だと転勤ごとに引っ越しはザラにあります。
特に北海道や東北の人は、転勤でかなりの距離を移動しなければなりません。
税務署は地域と顔なじみになるのを防ぐために、2,3年で転勤・異動があります。
基本的に都会⇒田舎⇒都会⇒田舎で異動することが多いですね。
都会ならまだいいのですが、田舎に行くと孤独な生活を強いられるので、正直辛いと思います。
僕は割とひとりでいるのが平気な人ですが、それでも辛かったので、寂しい生活を送りたくない人には正直おすすめできないですね…
国家公務員は転勤が多く、独身率が高いのが特徴です。
③収入源が給料だけでも耐えられるか
公務員は副業ができません。
株や仮想通貨への投資は問題ありませんが、アルバイトやブログ・アフィリエイトなど、本業以外でお金を稼ぐのが禁止です。
30,40代になると割と良い給料がもらえるのですが、20代のうちは年収が低く、お金のことでガマンすることが多いです。
最近は政府が副業を後押ししていることもあり、副業禁止は時代に合ってない仕組みかなと思います。
なお、参考までに23歳で年収は350万円ほどです。
毎月の給料が20万円で、夏・冬のボーナスがそれぞれ50万ずつくらいですね。
手取りだと、月16万円・ボーナスが夏冬それぞれ40万くらいかなと。
ボーナスは民間と比べてしっかりもらえるんですが、個人的には「もう少し欲しいなぁ」と思ってました(-_-;)笑
④効率の悪い働き方を受け入れられるか
税務署は割とアナログな職場で、IT化が十分に進んでいません。
内部のシステムはかなり古いものを使っているし、仕事はエクセルやワードがメインです。
スマホに慣れ親しんでいる若い人は、仕事をしていて「効率悪いなぁ」と感じることが多いと思います。
税務署の1年の半分くらいは書類をチェックする仕事で、あまりおもしろくないです。
税務調査も意外と足で稼ぐ的なところがあって、個人的に「もう少し楽にできないかな」とずっと思ってました。
組織が大きすぎるので、仕事のやり方もなかなか変わらないし、10年20年くらいは効率の悪い働き方が続くはずです。
⑤やりたい仕事ができなくても大丈夫か
税務署は2,3年で転勤があると説明しましたが、仕事がコロコロ変わります。
税務調査がやりたいと思っていたのに、急に総務になったり、人事の仕事をしたり。
せっかく税務署に入るなら「税務調査をしたい」と考える人は多いのですが、意外と希望どおりにいかないことが多いです。
また、「内部で書類仕事がしたい」と思っていても、税務調査に出されることも当然あります。
人事異動のたびに、「また、やりたい仕事ができない」と落ち込んでる人は多かったですね。
⑥年上の人の意見を受け止められるか
税務署はクビにならない職場なので、経験年数が上=偉いみたいなところがあります。
あまり間違ってはないと思うのですが、高圧的に来る人が多くて、精神的に参ってしまう人が多いです。
若手は本当に肩身が狭くて、普通に怒鳴ってくる上司もいるので、気の弱い人は辛いかもしれません。
僕の場合は、あまり人の言うことを聞かない人だったので、若手の中で一人だけ嫌われてました…笑
「上司に嫌われる=干される」みたいな感じがあり、それはそれで辛いものがありますね(-_-;)
ここまで並べたことは全部事実です
「税務職員になりたい」と考えている人にとっては、少し酷な事実かもですが、全部僕自身が体験したことであり、事実です。
学校やインターネットで調べると、ポジティブな面が目立つので、あえてネガティブな面をまとめてみました。
もちろん、他の職場でも同じようなことはありますが、「税務署ならではのキツさがある」ということですね。
特に税務調査で気が強くなる職員が多いので、若手のうちは慣れるまで結構きついと思います。
税務職員になる前にチェックしておくことを踏まえて、あなたが税務職員になりたい理由はなんでしょうか。
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税務職員になりたい理由はなんですか?
税務職員になりたい人は、なんとなくなりたいと考えている人が多いと思います。
僕の同期の志望動機も含めて、一般的な「税務職員になりたい理由」をまとめてみました。
- 公務員の給与や福利厚生の待遇を求める
- 税務調査という責任感のある仕事がやりたい
- すぐに家を離れて一人暮らしがしたい
公務員の給与や福利厚生の待遇を求める
「公務員は安定している」
「税務署は比較的給料が高い」
この公務員特有の待遇に関する志望動機は、同期の中にもすごく多かったです。
確かに身分保障があって安定しているし、最終的に年収は700万~1,000万くらいが望めます。
ただ、副業禁止や転勤生活の裏返しの待遇なので、一度冷静に将来を考えてみるといいかもしれません。
税務調査という責任感のある仕事がやりたい
税務調査や税金の徴収事務がしたいという志望動機もすごく多かったですね。
少し古いですが「マルサの女」という映画を見て、税務職員になりたくなる人も多いようです。
国税局の中の資料調査課や査察部といった、税務調査の最先端の部署に行くと、「脱税を摘発する」責任感の強い仕事ができます。
一方で、税務署の仕事は税務調査だけではなく、確定申告の事務もあります。
確定申告の時期は「税金なんて全然わかりません」という人がたくさん来るので、「なぜ学校では税金の教育をしていないんだろう」との疑問が浮かぶことも。
どこまで「税務調査に使命感を持てるか」は、職場に長くいる上では重要なポイントのひとつですね。
すぐに家を離れて一人暮らしがしたい
税務職員は転勤が多いので、すぐに住めるよう公務員宿舎が充実しています。
そのため、家庭環境やその他の諸事情で「家をすぐ出たい」という人は、すぐに一人暮らしができるのがメリットかもしれません。
ある意味、安定したセーフティネットとして機能する職場なので、民間企業よりも安心できる点ですね。
僕自身も「すぐに家を出たい人」だったので、将来とかは考えず、とりあえず税務署に就職したという経緯がありました。
志望動機としては特殊かもしれませんが、個人的にはアリかなと思います。仕事さえきちんとやれば問題ないです。
理由がしっかりしていないと続けるのは難しいかも
税務署に限らず、最初の就職の志望動機は軽いものかもしれませんが、公務員は少し特殊な職場です。
もし、必要に迫られていなければ、自分の将来的なキャリアを描く上で、「税務署はどうなのか」を一度考えてみるといいと思います。
かつて、上司が言っていた印象的な一言があります。
「税務職員は使命感がないと務まらない」
一般的にはあまりよく思われない職業ですし、部署によってはすごくブラックなので、いろいろと情報を集めてみてください。
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税務職員になりたいと思う人が読んでおくべき本

僕は2018年7月をもって税務署を辞めたのですが、辞めるにあたって影響を受けた本をいくつか紹介します。
どれも「自分は税務職員としてずっと働くつもりがあるんだろうか」ということを考えさせられた本なので、これから税務職員になりたいと考えている人にも参考になるはずです。
落合陽一『日本再興戦略』
筑波大学の准教授、落合陽一さんが「これからの日本はどうあるべきか」を書いた本です。
中身としては「自分で考えて価値を生み出せる人を増やすことが重要」というもので、心揺さぶられる内容になっています。
僕が個人的に人生を変えられた一冊なので、ぜひおすすめしたいですね。
堀江貴文・落合陽一『10年後の仕事図鑑』
ホリエモンと落合陽一さんの共著で、「10年後にはどういう仕事が生まれ、今の仕事は何が残るのか」という問題を分析した本です。
この本では、「公務員の仕事は90%が自動化される」と言われており、たしかに役所的な仕事は立場が少し辛くなるかもという印象です。
まあ、実際には10年後というよりは20年後くらいの内容ですが、自分が「この先どうなりたいか」を考えるいいきっかけになる本かなと思います。
ちきりん『マーケット感覚を身に着けよう』
社会派ブロガーのちきりんさんの本です。
「社会の中で、自分の市場価値を高めていくにはどういう視点を持てばいいか」という内容で、学生や新社会人ほど響くはず。
個人的に学生の時に読んでおきたかった1冊で、1度読んでおくと「社会の中でのポジションの取り方」を意識しつつ、日々を過ごせるようになるかなと思います。
どれも1冊あたり1,500円くらいしますが、買って損はしない本ばかりなので、ぜひ読んでみてください。
「税務職員になりたい」から一歩進んだ考えを持とう
少しネガティブな内容が多かったかもですが、就職は人生のうちで大きなイベントのひとつなので、よく考えておくのがいいですね。
就職は目的ではなく、ひとつの手段です。
「人生において、どういう道を選択するか」、この視点は仕事に就くにあたって、すごく大事だと思います。
ぜひ主体的に、後悔のない選択をしてください。
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ただ、イマイチ税務署って何の仕事をしているかわからないし、将来的なメリット・デメリットもよくわかりません。
採用試験を受ける前に、チェックしておくことをざっくり教えてください。